「電気代、また上がった……」「食材の仕入れ値が全然下がらない……」
障害福祉事業所を運営する皆さんから、こんな声をよく聞きます。
コロナ禍に端を発し、長引く円安、ウクライナ・中東等の不安定な世界情勢を背景とした物価高騰は、今や「一時的な話」ではなく、じわじわと事業所の経営を圧迫し続けています。
そんな状況に少しでも寄り添うために、東京都が実施しているのが「障害者施設等物価高騰緊急対策事業」です。
7月1日からは、令和8年度の申請受付がスタートしました。
締切は令和8年7月24日(木)。まもなくです。
「去年も申請した!」という事業所もあれば、「名前は聞いたことがあるけど、うちは対象なの?」という方もいると思います。今回は令和8年度版の内容を整理しました。まずは対象かどうか、確認してみてください。
この補助金はいつから始まった?
この事業は、物価上昇を背景に開始された事業であり、東京都では令和6年度から開始されました。
障害福祉サービスの報酬は国が一定のルールで定めており、事業所が自由に利用者負担を引き上げることはできません。にもかかわらず、食材・光熱費・燃料費などは市場の動向に直撃されます。
この「固定された報酬と物価変動の間のギャップ」を補うのが、本補助金の役割です。
令和6年度・令和7年度に続き、令和8年度も継続して実施されています(詳細は東京都福祉局公式ページを参照)。
令和8年度の対象サービス
対象となるサービスは、大きく4区分に分かれています。
区分1:施設系サービス
障害者支援施設、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、共同生活援助(グループホーム)、短期入所
区分2:通所系サービス
生活介護、宿泊型自立訓練、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労選択支援、児童発達支援、放課後等デイサービス
区分3:訪問系サービス
居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援
区分4:相談系サービス
就労定着支援、自立生活援助、計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)
令和8年度の対象経費
対象経費は、対象期間(令和8年1月1日〜6月30日の6ヶ月分)に発生した実支出額で、対象区分のサービスごとに異なっています。
この時期の申請なので、令和6年度・7年度の補助金のような「1年分」ではなく、6か月分である点にご注意ください。
また、いずれも上限額が設定されていますので、下の表をご参照ください。
| 区分 | 対象経費 | 上限額 |
|---|---|---|
| 区分1(施設系) | 食材費及び光熱費 | 定員数×5,669円/月 |
| 区分2(通所系) | 燃料費、光熱費及び食材費 ※食材費は食事提供を実施している事業所のみ | ・食事提供を実施している事業所 →定員数×1,607円/月 ・食事提供を実施していない事業所 →定員数×987円/月 |
| 区分3(訪問系) | 燃料費及び光熱費 | 29,500円(定額) |
| 区分4(相談系) | 燃料費及び光熱費 | 11,800円(定額) |
たとえば定員20名で、食事提供を実施していない就労継続支援B型(区分2)では、987円×20名×6ヶ月=118,440円が上限額となります(実支出額が上限を下回る場合はそちらが支給額)。
申請のスケジュール
申請は2段階です。
まず①事前申請、その後、事務局の審査が完了したら②「書類送付」という流れになります。
①「事前申請」:受付期間:令和8年7月1日(水)〜7月24日(木)
LoGoフォーム(電子申請フォーム)で法人情報・申請金額・口座情報を入力し、必要書類(交付申請兼実績報告内訳・通帳の写し等)をアップロードします。
事前申請フォームはこちら:
令和8年度障害者施設等物価高騰緊急対策事業 問い合わせフォーム
②「書類送付」:事務局の審査完了連絡後
jGrantsまたは郵送で正式書類を提出します。
注意すべきポイント
注意すべきポイントを5つまとめました。
① 締切は7月24日——申請漏れは絶対に避けたい
今年度は7/1〜7/24のわずか約3週間しか受付期間がありませんので、「忙しくてつい忘れた!」とならないよう、早めに内訳計算を済ませて申請しましょう。
② 定員は「運営規程に記載の定員」を使う
支援金額の算定に使う定員数は、実際に利用している人数(現員)ではなく、運営規程に定めた定員数です。
対象期間の各月1日時点の定員数で計算します。定員変更届が未提出の場合は反映されないため、変更がある方は事前に確認しましょう。
③ 他の補助金との重複はNG(一部例外あり)
同一の経費に対して、市区町村や他の都道府県の補助金と重複して申請することは原則できません。
ただし、補助対象の経費の範囲が完全に一致していない場合は、差引計算で双方から補助を受けられる場合もありますので、詳細は補助金事務局にご確認ください。
④ 郵送申請には法人の「印鑑証明書」が必要
郵送で正式書類を提出する場合、法人の「印鑑証明書」が必要となります。
令和8年6月10日以降に取得したものであれば受付可となりますので、まだ法人の「印鑑証明書」を取得されていない場合、早めに所管の法務局で取得しておくと安心です。
⑤ 領収書等は5年間保管が必要
対象経費に関する納品書・領収書等は申請時に提出は求められませんが、事業完了後少なくとも5年間は保管・整理しておく必要があります。事後調査や監査で確認を求められることがあります。
まとめ
令和8年度 障害者施設等物価高騰緊急対策事業のポイントをまとめます。
- 対象サービス:障害者支援施設・通所系・訪問系・相談系サービスなど幅広い。
- 対象経費:令和8年1月1日~6月30日までの光熱費、燃料費、食材費の実支出額。サービス区分ごとに異なり、上限額設定あり。
- 申請期間:令和8年7月1日〜7月24日(締切間近!)
物価高騰が続く中、受け取れる補助金は確実に申請しておきたいところです。
「うちは対象に入るの?」「申請方法がわからない」という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
行政書士 高橋一樹(東京都小平市)
障害福祉サービス事業者の申請・運営サポートを専門としています。
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