この記事では、前回の社会福祉法人の設立に続き、NPO法人の設立について、申請から登記まで、順を追って解説します。
「NPO法人を作って障害福祉サービスの事業所を開設したい」「今の任意団体をNPO法人化したい」という方は、是非本記事をお読みください。
そもそもNPO法人とは?
NPO法人(特定非営利活動法人)は、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号。以下「NPO法」)に基づいて設立される法人です。
NPO法第2条に定められた20の活動分野(保健・医療・福祉、社会教育、まちづくりなど)のいずれかを目的として活動し、営利を目的としないことが要件とされています(NPO法 第2条第2項)。
障害福祉サービス事業は「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」(NPO法 第2条第1項第1号)に該当するため、NPO法人として指定申請を受けることが可能です。
NPO法人は社会福祉法人と比べて設立のハードルが低く、比較的スムーズに法人格を取得できるのが特徴です。
設立のための基本要件
設立申請前に、以下の基本要件を満たしているかを確認します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 社員(会員)数 | 10人以上(NPO法 第12条第1項第2号) |
| 理事 | 3人以上(NPO法 第15条) |
| 監事 | 1人以上(NPO法 第18条) |
| 役員の親族制限 | 役員総数の3分の1を超える親族等を役員にできない(NPO法 第21条) |
| 活動分野 | NPO法第2条第1項に列挙された20分野のいずれかに該当すること |
| 営利非追求 | 収益を構成員に分配しないこと(NPO法 第2条第2項第1号) |
社員10人という要件は任意団体と比べてハードルに感じる方もいますが、支援者・賛助会員として関わっている方に声をかけると比較的集まりやすいです。
設立手続きの全体の流れ
NPO法人の設立は、大きく「①設立総会の開催」「②所轄庁への認証申請」「③認証後の登記」という3つのフェーズに分かれます。
ステップ① 設立総会の開催
設立発起人(設立しようとする人たち)が集まり、以下の事項を決議します。
- 定款の内容
- 設立当初の役員(理事・監事)
- 設立初年度・翌年度の事業計画と活動予算
設立総会の議事録は後の申請書類として使用するため、決議内容と出席者を正確に記録しておく必要があります。
ステップ② 所轄庁への認証申請
設立総会後、所轄庁(都道府県または内閣府)に認証申請書類を提出します。
所轄庁の区別(NPO法 第9条):
- 活動範囲が1つの都道府県内のみ → その都道府県
- 活動範囲が2つ以上の都道府県にまたがる → 内閣府
東京都内でのみ活動する場合は東京都生活文化スポーツ局が所轄庁となります。詳しくはこちらのサイトをご参照ください。
主な提出書類(NPO法 第10条):
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 認証申請書 | 所轄庁の様式 |
| 定款 | 必須記載事項(NPO法 第11条)を満たすこと |
| 役員名簿 | 住所・生年月日を含む |
| 各役員の就任承諾書および誓約書 | 欠格事由に該当しない旨を誓約 |
| 社員のうち10人以上の名簿 | 住所・氏名 |
| 設立総会議事録の謄本 | |
| 設立当初の事業年度・翌事業年度の事業計画書 | 各2部 |
| 設立当初の事業年度・翌事業年度の活動予算書 | 各2部 |
| 設立趣意書 | |
| 法人の設立者の氏名・住所を記載した書面 |
書類の様式は所轄庁によって異なる場合がありますので、提出先のホームページで最新版をご確認ください。
ステップ③ 縦覧・審査
申請書類が受理されると、所轄庁は申請受理から2ヶ月間、申請書類を一般に公開(縦覧)します(NPO法 第11条第3項)。縦覧期間中は誰でも書類を閲覧でき、不認証を求める申出を行うことができます。
縦覧期間終了後、所轄庁は認証・不認証を決定し、申請者に通知します(NPO法 第12条第2項)。申請受理から認証までの期間は概ね3〜4ヶ月が目安です。
ステップ④ 設立の登記
認証書が交付されたら、2週間以内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局で設立の登記を申請します(NPO法 第13条第1項・会社法準用)。
登記完了後、2週間以内に所轄庁へ登記完了の届出を行います(NPO法 第13条第2項)。
登記に必要な書類(法務局への提出):
- 設立登記申請書
- 定款
- 認証書
- 役員の就任承諾書
- 代表権を持つ理事の印鑑証明書
- 払込みがあったことを証する書面(財産目録と照合)
設立にかかる期間の目安
| フェーズ | 期間の目安 |
|---|---|
| 書類準備・設立総会の開催 | 1〜2ヶ月 |
| 所轄庁への申請〜縦覧 | 2ヶ月 |
| 所轄庁の審査〜認証通知 | 1〜2ヶ月 |
| 登記申請〜完了 | 1〜2週間 |
| 合計 | 約4〜6ヶ月 |
定款の不備や書類の追完が発生すると、さらに時間がかかることがあります。「〇月に事業所を開設したい」という目標がある場合は、逆算して早めに動くことが重要です。
まとめ
NPO法人の設立は、書類準備から登記完了まで概ね4〜6ヶ月かかります。社会福祉法人と比べると設立のハードルは低いですが、所轄庁への認証申請・縦覧・登記と複数のステップがあるため、早めの準備が大切です。
特に、定款の「目的」「事業」の記載については、後から障害福祉サービスの指定申請につなげることを見据えた内容になるよう、注意が必要です。
行政書士 高橋一樹(東京都小平市)
障害福祉サービス事業者の申請・運営サポートを専門としています。
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