障害者総合支援法とは

こんにちは!行政書士の高橋です。

障害福祉サービスの指定申請や変更届のご相談をいただくとき、「障害者総合支援法」という名前を目にすることは多いと思います。今回は、障害者総合支援法の基本とともに、前身である障害者自立支援法との違いをわかりやすく整理してみます。


1. 前身である障害者自立支援法(2006年〜)

障害福祉サービスの根拠となる法律は、もともと「障害者自立支援法(平成17年法律第123号)」でした。

2006年(平成18年)10月に本格施行されたこの法律は、それまでバラバラだった身体・知的・精神の3障害に関する福祉サービスを一元化した画期的な法律でした。それ以前は、身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律など、障害種別ごとに法律が分かれており、サービス体系が複雑でした。

ところが、この法律には大きな問題点がありました。それが「応益負担」の仕組みです。

応益負担とは、サービスを利用した量(応益)に応じて利用者が費用を負担するというもの。当時は原則1割負担が課せられました。これに対して、障害当事者や支援団体から強い反発があり、国と障害者団体の間で訴訟にまで発展しました(いわゆる「障害者自立支援法違憲訴訟」)。

この社会的な議論を経て、制度の抜本的な見直しが進められることになります。


2. 障害者総合支援法への移行(2013年〜)

障害者自立支援法は、2012年(平成24年)の法改正により名称も変更され、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(略称:障害者総合支援法)として2013年(平成25年)4月1日に施行されました(平成24年法律第51号による改正)。

なお、「障害福祉サービス」の全体的な仕組みについてはこちらのブログで解説していますので、あわせてご覧ください。


3. 主な変更点5つ

① 法の目的に「尊厳」が明記された

障害者総合支援法の第1条(目的)には、「基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営む」という文言が加わりました(障害者総合支援法第1条)。

「自立を支援する」という旧法の表現から、障害のある方を権利の主体として位置づける考え方へと、法律の根本的なスタンスが変わりました。

② 難病等が対象に加わった

障害者自立支援法では、障害者の定義は身体・知的・精神の3障害とその他(児童福祉法の対象者)でした。

障害者総合支援法(第4条第1項)では、これに加えて「治療方法が確立していない疾病(いわゆる難病等)」を持つ方も対象として明記されました。制度施行当初は政令で130疾病が指定されていましたが、その後段階的に拡大が続いています。

③「障害程度区分」が「障害支援区分」に変わった

障害者自立支援法での「障害程度区分」という名称が、「障害支援区分」(法第4条第4項)に改められました。

単に「障害の重さ」を測るのではなく、「その方にどのような支援が必要か」という視点で区分することを明確にしたものです。区分1〜6の仕組みはほぼ変わりませんが、名称変更によって制度の考え方が転換されました。障害支援区分の詳細についてはこちらのブログをご覧ください。

④ ケアホームとグループホームが一元化された(2014年4月)

施行から1年後の2014年(平成26年)4月、それまで別々に運営されていた「共同生活介護(ケアホーム)」と「共同生活援助(グループホーム)」が「共同生活援助(グループホーム)」として一元化されました。これにより、従来のケアホームは共同生活援助として位置づけ直され、支援の類型も整理されました。

⑤ 重度訪問介護の対象が拡大された

従来は重度の肢体不自由者が主な対象だった重度訪問介護について、重度の知的障害・精神障害のある方にも対象が拡大されました。また、2018年(平成30年)4月からは、医療機関への入院中にも一部利用できるようになっています。


4. 現在も改正が続いています

障害者総合支援法は、3年に1度を目安とした障害福祉サービス等報酬改定とともに、制度自体も継続して見直されています。

直近の大きな改正は2022年(令和4年)12月の改正です(正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第104号)」)。この改正では、共同生活援助(グループホーム)の新たな類型「自立生活援助」との連携強化や、就労系サービスの見直しなどが盛り込まれ、2024年(令和6年)4月から順次施行されています。


まとめ

項目障害者自立支援法(旧)障害者総合支援法(現行)
施行年2006年(平成18年)10月2013年(平成25年)4月
法の目的自立を支援する尊厳にふさわしい生活の支援
対象身体・知的・精神障害上記+難病等
区分の名称障害程度区分障害支援区分
GH・ケアホーム別々(2種類)一元化(2014年〜)
重度訪問介護重度肢体不自由者が中心知的・精神障害にも拡大

障害福祉の制度は複雑ですが、「なぜ今の仕組みになったのか」という歴史的な経緯を知っておくと、制度全体の理解が深まります。

ご参考にしていただけますと幸いです。


行政書士 高橋一樹(東京都小平市)
障害福祉サービス事業者の申請・運営サポートを専門としています。
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