こんにちは!行政書士の高橋です。
障害福祉サービス事業所の開設を検討するとき、必ず出てくる疑問があります。
「指定申請って、都道府県に出すの?それとも市区町村?」
実は、サービスの種類によって申請先が異なります。この「申請先を決める行政機関」のことを指定権者といいます。今日は指定権者の仕組みと、都道府県・市町村の違いをわかりやすく解説します。
指定権者とは?
指定権者とは、障害福祉サービス事業所の「指定」を行う権限を持つ行政機関のことです。
障害福祉サービスを提供するには、事業所が行政機関から「指定」を受ける必要があります。この「指定をする権限を持つ機関」が指定権者です。
なお、「指定」とはどういう意味か?という基礎についてはこちらのブログもご参照ください。
指定権者は大きく次の2つに分かれます。
- 都道府県知事
- 市町村長
どちらが指定権者になるかは、サービスの種類によって決まります。
都道府県知事が指定権者となるサービス
まず、ほとんどの障害福祉サービスでは都道府県知事が指定権者となります。
訪問系サービス
居宅介護(ホームヘルプ)・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援
日中活動系サービス
療養介護・生活介護・短期入所(ショートステイ)・就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援・自立訓練(機能訓練・生活訓練)・自立生活援助
居住系サービス
共同生活援助(グループホーム)・施設入所支援
相談支援(地域移行・定着)
地域移行支援・地域定着支援(指定一般相談支援事業者)
これらのサービスは、事業所の所在地を管轄する都道府県の担当部署に指定申請を提出します。東京都であれば、福祉保健局障害者施策推進部(または管轄の各保健福祉事務所)が窓口です。
市町村長が指定権者となるサービス
一方、市町村長が指定権者となる代表的なサービスが計画相談支援(指定特定相談支援事業)です(障害者総合支援法第51条の17第1項)。
計画相談支援は、障害のある方が福祉サービスを利用する際に「サービス等利用計画」を作成する事業です。この事業の指定申請は、事業所の所在地の市区町村に提出します。
| サービス種別 | 指定権者 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| ほとんどの障害福祉サービス | 都道府県知事 | 障害者総合支援法第29条第1項 |
| 計画相談支援(指定特定相談支援) | 市町村長 | 障害者総合支援法第51条の17第1項 |
| 地域移行・地域定着支援(指定一般相談支援) | 都道府県知事 | 障害者総合支援法第51条の14第1項 |
政令指定都市・中核市では「市長」が指定権者になる
ここで注意が必要なのが、政令指定都市と中核市の扱いです。
地方自治法第252条の19・第252条の22の規定に基づき、政令指定都市・中核市には都道府県から一定の権限が移譲されています。そのため、これらの都市では都道府県知事ではなく市長が指定権者となるサービスがあります。
たとえば、大阪市・横浜市・名古屋市などの政令指定都市や、松山市・高崎市などの中核市に事業所を開設する場合、指定申請の窓口は都道府県ではなく各市の担当部署です。
東京都の場合、八王子市は中核市(2015年4月1日指定)のため、八王子市内の事業所については八王子市長が指定権者となるサービスがあります。それ以外の市区町村(23区を含む)は政令指定都市・中核市に該当しないため、東京都知事が指定権者となります。
事業所の所在地が政令指定都市・中核市に該当するかどうかは、総務省の一覧でも確認できますので、参考になさってください。
障害児サービスの指定権者
障障害のある子ども向けのサービス(障害児通所支援・障害児入所支援)は、障害者総合支援法ではなく児童福祉法が根拠法となります。
- 障害児通所支援(放課後等デイサービス・児童発達支援など)→ 都道府県知事が指定権者(児童福祉法第21条の5の15第1項)。ただし政令指定都市・中核市では市長に移譲。
- 障害児入所支援(障害児入所施設)→ 都道府県知事が指定権者(児童福祉法第24条の2第1項)
障害福祉サービスと障害児サービスを一体的に運営する事業所(たとえば、就労継続支援B型と放課後等デイを併設するケース)では、根拠法(障害者総合支援法・児童福祉法)が異なるため、それぞれの窓口への申請が必要になります。ただし指定権者はいずれも都道府県知事(政令市・中核市は市長)である点は共通しています。
まとめ:指定申請前に指定権者を確認しよう
ここまでの内容を整理します。
- ほとんどの障害福祉サービス → 都道府県知事(政令指定都市・中核市では市長)
- 障害児通所支援・障害児入所支援 → 都道府県知事(政令指定都市・中核市では市長)(根拠:児童福祉法)
- 計画相談支援・障害児相談支援 → 市町村長
指定申請を誤った窓口に提出してしまうと、書類の受理に時間がかかったり、受付自体をやり直すことになったりと、開設スケジュールに大きな影響が出ます。申請前に必ず事業所の所在地を確認し、どの行政機関が指定権者かを把握しておくことが大切です。
「自分の事業所はどこに申請すればいいの?」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
行政書士 高橋一樹(東京都小平市)
障害福祉サービス事業者の申請・運営サポートを専門としています。
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